04紀州備長炭の原木-ウバメガシ

1.ウバメガシ

紀州備長炭の原木、つまり炭になる元の木は何か? 主には「ウバメガシ」という樫の木である。和歌山県南部では一般によくみられる。ウバメガシ:姥目樫、学名:Quercus phillyraeoidesは、ブナ科コナラ属の常緑広葉樹で比較的痩せた急斜面の崖地などに生育しており、材は非常に堅くかつ重い。また幹が真っ直ぐに伸びることは少なく曲がりくねっているので建築材などには向かずまさに炭になるべくして、いや単なる炭ではなく備長炭として生まれるべくして紀南地域に生育しているように思える。



2.馬目(ばべ)と備長(びんちょう)

紀州備長炭の原木は何もウバメガシに限っているわけではない。ウバメガシを「馬目」と表記し普通のカシ(アラカシ他)を焼いた場合は「備長」と表記するなど、またそれ以外の木でも「雑」などと言って種類分けするようになっている。つまり厳密に言えば紀州備長炭の原木はウバメガシ以外でも紀州備長炭である。しかしウバメガシは他の雑木はもちろん堅木といわれる樫の木と比較してもその堅さ重さは飛びぬけており、炭に仕上がった後の硬度の違い、火持ち・火力が抜きん出ている。自ずと商品価値に違いが生じ価格も相応に高い炭となり結果「紀州備長炭と言えば=ウバメガシ」ということになってきた訳である。

3.紀伊半島のウバメガシ

日本におけるウバメガシ林の分布をみるとそれは海岸林の代表のように言われるが、紀伊半島では大塔山系の内陸奥地まで広く分布している。これは紀州備長炭の炭焼きがウバメガシを枯らさないように伐ってきたからだという。つまり炭焼きがウバメガシを伐るときは鋸を使わず鉈で伐ったという。一方でシイなど炭材に不向きな木は鋸で伐る。この方法でいつまでもウバメガシが残ってきた。四国や九州でも山奥にはもうウバメが無い。

4.和歌山県の木

ウバメガシ(昭和41年9月10日県民投票)

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