07木酢液(もくさくえき)とは

1.炭焼きの副産物

木酢液(もくさくえき)とは木を炭に焼くときに出る煙から採取した液体です。炭材の木(紀州備長炭の場合、主にウバメガシ)を窯の中で蒸し焼き状態にすると熱分解され、その時に発生するガス成分や水蒸気が冷却されて液化したもので、様々な有効成分を含んでいます。あくまでメインは炭焼きでウバメガシを極力高品質な炭素の塊に仕上げていくわけですが、折角ウバメガシが大地から吸い上げた成分をただ単に煙として放出するのは勿体ないのでその煙も積極的に有効活用しようということです。その意味で炭焼きの副産物と言えますが、最近は木酢液をメインで採るために原材料を炭化させるという場合もあるようで、その品質の見極めが重要となっているようです。



2.採取の方法

「木酢液は何やら色んな事に良いらしい」と巷で言われておりますが、その品質は採取方法によって出来具合も様々で、言わばピンからキリまでと言うことができます。品質を左右する条件は「原木」「窯」「温度」「精製」です。

*「原木」:樹種ではナラ・ブナ・カシ類が定評あり、建築廃材や製材屑などから作られる場合は有害物質の混入など十分に注意が必要でしょう。
*「窯」:土窯で採る木酢液は木タールが少ないといわれています。
*「温度」:排煙口の温度で80-120度の範囲の煙から採取します。80度以下の低温採取では水分ばかりになり、150度以上の高温採取ではタールが多く、発がん性物質など有害物質も含まれやすくなります。
*「精製」:採取したての木酢液には必ず木タールが含まれますので、しっかりと精製し木タールを分離しなければなりません。静置法で少なくとも6ヶ月以上は精製したいものです。

3.紀州備長炭木酢液の特徴

紀州備長炭の製炭は現在も昔ながらの製法をそのまま継承しています。したがって原木は伐採後すぐの「ウバメガシ」、窯は備長窯という土窯で焼き上げる為、そこから採取する木酢液については温度管理と精製法に力点を置くことで上質な木酢液に仕上げることができるのです。特に製炭におけるネラシ以降の窯出し過程では急激に高温となるためここでの木酢液採取は厳禁です。きっちりと温度管理された中で紀州備長炭木酢液を採取しその後精製されたものは赤褐色の美しい色合いの木酢液となります。

4.木酢液の成分

木酢液の成分は200種類とも250種類とも言われ実際にすべての成分を分析したものは知られておりません。このように多くの化合物が含まれておりますがその80-90%は水分で残りの10-20%の中に様々な成分が含まれていることになります。

【主な成分】

*酢類:酢酸(木酢液中5-6%と一番多い)/蟻酸/酪酸/プロピオン酸
  *アルコール類:メタノール/ブタノール/アミルアルコール
*中性物質:アセトン/バレロラクトン/マルトール
*アルデヒド類:ホルムアルデヒド/フルフラール
*フェノール類:クレゾール/グアヤコール/オイゲノール
*塩基性物質:アンモニア/メチルアミン/ピリジン

  • 木酢液資料
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