1.名前の由来
紀南地方(和歌山県南部)の村々で焼かれていた良質の白炭(*)を、江戸時代紀州田辺藩で炭問屋を営んでいた備中屋長左衛門が「備長炭」と商標し、江戸に送り出していたことに由来している。
*炭は製法の違いで白炭と黒炭に分類できる。備長炭は白炭の代表格。黒炭では茶道で使う池田炭(菊炭)が有名。
2.原木と土質
原木は主にウバメガシ(姥目樫と書く)。国内で最も硬い木と言われる。本州の太平洋沿岸など 温暖な地域の急傾斜の崖地でよく育ち、雨量多く温暖である紀州の気候がうってつけ。 備長炭を焼く窯(備長窯)に必要な耐火性の赤土と石は、この地方独特の粘土質のもので、採取が容易である好条件にも恵まれている。
つまり、紀州備長炭は「当地で生れるべくして生れ、かつ当地でしか作れない」とも言える炭である。
3.特徴
炭の芸術品
1000℃以上の高温で完全炭化され、他のどの炭よりも不純物が少ない白炭の最高傑作品。
燃焼時いやな臭いを出したりせず、食材の風味を損なわない(炭素分が96%以上と言う高さ)。
硬度15度以上の硬さは、切断面の光沢、叩いた時の金属音からも感じられる。
吸着能力
1gあたり約250~300㎡の表面積を持ち、調湿・消臭効果に優れている。
家屋の床下や室内での調湿効果。下駄箱・冷蔵庫などのいやな臭いの吸着効果。
ホルムアルデヒドなどの化学物質吸着効果。お風呂に入れて水道水の塩素吸着効果。などなど・・・
天然の浄水器
カルキを吸着するだけでなく、水に溶けやすいミネラル(カルシウム/カリウム/マグネシウム/マンガン等)を豊富に持つことから水道水を美味しいミネラル水に変えることが出来る。
4.電磁波遮蔽
1000℃以上の高温で均一に焼かれた不純物の少ない炭、つまり備長炭は電気をよく通す特性をもつ為電磁波を吸収する。
低温で炭化した炭は電気抵抗値が大きく電気を通さない為、電磁波を遮蔽することは出来ない。
5.稀少品
炭の国内生産量に占める紀州備長炭の生産(1,700~1,800㌧/年)割合は約3%程度。
輸入炭を含めた炭の総消費量に占める紀州備長炭の割合は約1%程度。
・・・と極めて生産の限られた稀少品である。